岡山県の”備前焼”について|美しい煎茶道具をもとめて

こんにちは。

煎茶道大阪上本町教室の翼仙(よくせん)です。

今回は全国的にも有名な陶器「備前焼」(びぜんやき)を学びに、備前焼の里がある岡山県備前市に旅してきた際の記事です。

美しき煎茶道具をもとめてとは

日本茶の趣味として、煎茶道という伝統芸道があります。抹茶の茶道は有名ですが、煎茶道とは急須からお茶をいれる茶道の流派です。茶道と同じようにたくさんの煎茶道具をもちいて、お客様に美味しいお茶をいれるため、”見て”楽しんでいただくためにも道具の美しさは重要です。

このシリーズでは、お客様にお茶をより美味しく、より楽しく飲んでいただくために、各地の伝統工芸の産地に勉強に行ったこともふくめて、まとめた記事です。

煎茶道の茶会でよくみるけど、備前焼ってなんなの? 

備前焼

備前焼(びぜんやき)とは、岡山県備前市の伊部エリアでとれた良質の陶土(とうど)を、手び練りで一点づつ成形し、絵付けもせず、釉薬もコーティングせず、そのまま焼く、土味がよく表れていることが特徴の焼き物です。

言うなればどれも同一のデザインはうまれず、そのまま自然が表現される”無作為の美”(むさくいのび)をもつ陶器です。

ゆえに一つ一つが似ているようで異なりますので、数ある備前焼の作品たちの中で、一番自分の美意識と相性が良いものを見つけるのが備前焼の楽しみの1つです。

自分が選んだ備前焼は、自分の美意識の現れで、自分そのものだと感じます。

ちょっと文章のはじめから興奮気味ですが、それほど備前焼というのは、奥が深く、焼き物好きにとっては、絶対行きたい窯元の産地なんです。

その奥が深いというのは、技術力や技法やデザインのレパートリーもさることながら、ダントツに歴史が深い、という部分にあります。

備前焼は、言わずと知れた「日本六古窯(にほんろっこよう)の1つです。

煎茶道の茶会でもよく聞く「日本六古窯」とは?

備前焼

日本六古窯(にほんろっこよう)とは、鎌倉時代以前より継続している古い窯の中で、大きな産地となった代表的な六つの窯、瀬戸(せと:愛知県)・常滑(とこなめ:愛知県)・越前(えちぜん:福井県)・信楽(しがらき:滋賀県)・丹波(たんば:兵庫県)・備前(びぜん:岡山県)の六窯(ろくよう)を指す言葉です。

特にここ備前焼は、なんと日本史の教科書でよくテストにでる弥生時代の須恵器(すえき)が発展したものだと言われています。

須恵器といえば、焼き締めで薄く作った土器です。

たしかに言われてみると、備前焼もその特徴をちゃんと継承しています。

備前焼の特徴とは?

備前焼の特徴は、なんといっても窯変(ようへん)と赤褐色(せきかっしょく)です。

先述したように、備前焼は釉薬(ゆうやく:ガラス質のコーティング材のようなもの)を使用していませんので、1000度以上の炎が、窯の中で、成形した土に直接あたります。すると土の中の成分や灰が、高温すぎて融けて作品に付着し、釉薬の代わりとなります。また窯の中の炎がどうなるかはコントロールできないので焼きムラになります。これらを備前焼では窯変と呼び、デザインとして使っています。ちなみに代表的な窯変デザインのパターンとして、4つあげれます。胡麻(ごま)、桟切り(さんぎり)、緋襷(ひだすき)、ぼた餅があります。

また酸化焔で焼かれたため、赤褐色の土肌が特徴的です。原料の土は、鉄分をおおく含む田土(ひよせ)を用いるため、その分さらに赤さが目立ちます。

どれも自然の無作為の美(むさくいのび)です。

動画で見ると分かりいやすいので、備前焼の特徴がよく出ているこちらの動画をご覧ください。

備前焼のビアマグに窯変や赤褐色など特徴がよく出ています。

ビアマグ内部は緋襷の特徴がでており、表面には松割木の灰釉が付着してできた胡麻の窯変が、そして何より全体的に赤みがかっています。

備前焼の里に行った際は、ぜひこの窯変と赤褐色の特徴を事前に覚えてから楽しんでみてください。

備前焼のビアマグは、釉薬でコーティングしたないめ、焼き締めの部分がザラザラしています。なのでビールの泡立ちがすごく、まさに”神泡”です。

気が抜けたビールでも泡立ち、ビールがより美味しく感じれますよ♬

煎茶道ゆかりの備前焼の里に行ってみた。

備前焼の里の中心となるのは、JR伊部駅(いべえき)です。

無人駅のような簡素なこの駅が中心となりますが、備前焼を楽しみたい、窯元めぐりをしたい、という方はここを目指してこられるのが良いと思います。

伊部駅入り口には、備前焼の陶板画(とうばんが)が出迎えてくれました。

この地域の神社に伝わる阿形、吽形(あぎょう、うんぎょう)の宮獅子(みやじし)がモデルになっているとのことです。

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JR伊部駅にある備前焼の陶板画

シッポの先端が宝珠(ほうじゅ)のようになっていますね。

宝珠とは、災難を除き、汚れを浄化する仏宝のことです。

胴体やら頭に丸く明るい色に変色した斑点(はんてん)がそれぞれ2,3個ありますが、これが先述した「ぼた餅」という焼き方だそうです。

伊部駅の目の前には地図があります。

ここでどこに行くか決めれます。

この伊部という地域は、備前焼が弥生時代の須恵器から続いているということもあり、かなり歴史が長いです。

備前焼以外にも、かなり見ごたえのあるスポットがたくさんあるので、どこに行くか迷いました。

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岡山県備前市の伊部駅のすぐ近くにある備前焼の里

煎茶道ゆかりの備前焼の里はコンパクト観光シティ。

便利だなあと思ったのが、駅に併設されている「備前焼伝統産業記念館」です。

ここでは1階で岡山県のお土産の販売、2階では備前焼の販売や展示が行われています。

備前焼の窯元は、かなり数多く、どれを買うか迷った末、どれも買えなかったーなんてよくありがちです。

そんな時に、重宝するのがここです。

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JR伊部駅に併設されている備前焼のショップギャラリー

各窯元さんの作品が数多く並んでいるので、何か買い損ねたときに便利です。

まだ職員の方も常駐しているので、おすすめの焼き物や窯元の特徴なんかも教えてくれます。

ーーーーーーーーーー基本情報ーーーーーーーーーーーーーー

名称:備前焼伝統産業会館(びぜんやきでんとうさんぎょうかいかん)

住所:〒705-0001 岡山県備前市伊部1657-7

問い合わせ先:TEL 0869-64-1001 FAX 0869-64-1002

開館日・火曜日(祝日の場合は翌日)、1・2階は12月29日~1月3日休み

料金:無料

アクセス:赤穂線「伊部駅」下車すぐ

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煎茶道ゆかりの備前焼の過去から現在を知る。

伊部駅から徒歩1分到着する、こちらの備前焼ミュージアムもおすすめです。

やはり備前焼の面白さの1つは「歴史」です。

日本最古級のながい歴史がありますので、その1000年以上の時間の中で、どのように進化してきたのか、どのような変遷があったのかを、充実した過去作品や資料を一緒にみるのならば、ここ以上のところはありません。

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伊部駅から徒歩1分にある備前焼ミュージアム

 ーーーーーーーーー基本情報ーーーーーーーーーーーーー

名称:備前焼ミュージアム(びぜんやきみゅーじあむ)

住所:705-0001 岡山県備前市伊部1659-6

問い合わせ先:Tel: 0869-64-1400 Fax: 0869-63-8300

開館時間:午前9時から午後5時( 最終入館は午後4時30分 )

開館日:毎週月曜日( 祝日または振替休日の場合は翌日 )、12月29日-1月3日、そのほか展示替時

最寄り駅:赤穂線「伊部駅」下車 徒歩1分

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煎茶道ゆかりの備前焼のふる里にいってみた。

伊部駅から徒歩5分ほど、備前焼のふる里にきました。

この通り沿いにズラーと窯元のショップが並んでいます。

嬉しいのが、各窯元が直接ギャラリーショップを持っていることです。

これによって自分が欲しい商品をお店からダイレクトに、リーズナブルに購入することができます。

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備前焼のふる里

ここでしか見れない風景というのもよく見ます。

備前焼の窯元が、ギャラリーショップのすぐ裏手で作品を作っているので、その雰囲気を感じることができます。

こちらの窯元では、ひと際大きな耐火レンガでつくった煙突が飛び出ています。

何を焼いているのでしょうか。

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備前焼の窯元の煙突


とある窯元のギャラリーに入って、作品を見ていると何やらコーヒーや緑茶、どちらが良いか聞かれました。

まだ購入していないのに、コーヒーを頂戴しました。

これは何か買わねばいけない。(笑)

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お店からいただいたコーヒーがはいっている器はもちろん備前焼です。

ここまで赤いのか、というほどの色です。

コーヒーをまぜるスティックまで備前焼なのは、こだわりがあっていいですね。

自分の家でも、このように自分がいままで集めた雑貨や器を眺めながら、ゆっくりとした時間を過ごしたいものですね。


備前焼のふる里は、日本六古窯(にほんろっこよう)なだけあって、歴史を感じる通りです。

昔ながらの立派な日本家屋がそこかしこに立っています。
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これは、同じ通りにあった茅葺屋根(かやぶきやね)の古民家。

この茅葺高いんですよね。

うちの実家も以前は茅葺だったのですが、高すぎて変えました。

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備前焼のふる里にあった茅葺屋根の家。

備前焼の旅で購入したもの

今回、岡山県の備前焼の里にて購入したのは、”横這いする可愛いカニさん付きの盃”です。

盃の底部分には桟切りのようなグレーの色や、赤褐色もサークル状に、にじみ出ていて、備前焼らしくて好きになりました。

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かわいいカニさんがいる備前焼の盃を購入。

カニは後ずさりせず、横這いで前進するので、”常に前進する”という言葉にもかかる縁起物です。

お酒を実際に入れてみると、なんとカニの部分からプクプクと泡が出てきます。

まるで生きているみたい。

お祝いの席や、仲の良い友達と飲むときに使うのも良いですね。

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備前焼の盃

こちらで備前焼に興味を持たれた方には、もっと備前焼について学べるスポットをご紹介します。

備前市歴史民俗資料館

備前市歴史民俗資料館は、郷土の歴史・民俗・文化について、常設展示と企画展でそれぞれテーマにそった展示を行っています。

民俗室は、昔の人が生活に使っていた道具(行灯やランプ、石臼など) を展示して、人々がどのような暮らしをしていたかを紹介しており、セラミックス室では、備前焼を焼く登窯の断面模型や備前市内から出土した遺物や備前焼、備前市の産業を支えた耐火レンガなどを展示しています。

ーーーー基本情報ーーーー

住所:〒705-0022 岡山県備前市東片上385

開館時間 9:00~16:30(毎週月曜定休)

拝観料:無料

問合せ先:086-964-4428

アクセス:JR備前片上駅から徒歩で5分

煎茶道家よくせんのおすすめスポット「天津神社」

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名称:天津神社(あまつじんじゃ)

問い合わせ先:075-462-0344

住所:〒603-8322京都府京都市北区平野宮本町89

参拝時間:8:00〜11:30 / 13:00〜16:30

最寄り駅:京福電鉄北野線・北野白梅町駅徒歩約7分

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ここ備前焼の郷でしか見られない景色をご紹介します。

備前焼でできた天津神社です。

千年の歴史をもつ由緒ある神社。屋根瓦、狛犬、参道の敷石、参道沿いの塀の陶板にも備前焼が使用されています。備前焼の絵馬も販売されています。

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備前焼の狛犬が出迎えてくれる天津神社

参門もすごいです。

屋根瓦も、シャチホコも、壁も全部備前焼です。

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岡山県にある備前焼の神社「天津神社」



神社の塀には備前焼の瓦と烏帽子をかぶった十二支の申(申)がいます。

奥の家屋の瓦と比べても、備前焼の赤褐色が際立ちます。
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こちらの瓦の上には蛇がいます。

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岡山県の天津神社にある備前焼の十二支

逆光で見えづらいですが、奥には羊の焼き物もいます。

また陶板で狛犬の画とタイルがあります。

どこまでも備前焼尽くしですね。
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以上になります。

ご覧いただきありがとうございます。


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