煎茶道の作法・マナーについて

こんにちは。

煎茶道東叡山翼仙(とうえいざんよくせん)教室の翼仙です。

今回は、よくお尋ねいただく「煎茶道の作法・マナー」についての記事です。

煎茶道の茶会の作法・マナー
煎茶道の茶会の様子

煎茶道ってなに?

煎茶道(せんちゃどう)というのは、茶道の一流派で、急須をもちいて茶葉(ちゃば)からお茶を淹れる流派のことです。

煎茶以外にも、玉露や紅茶、ほうじ茶、さらには日本酒など、お淹れする嗜好品(しこうひん)は多岐(たき)にわたります。

煎茶道は、江戸時代に中国から伝わってきた文人趣味(ぶんじんしゅみ:書や画など風流をたのしむ趣味)や黄檗禅宗(おうばくぜんしゅう)と合流し、抹茶の茶道にはない、独自の進化をとげてきました。そのため文化サロンの要素がつよく、”文化をたのしむ”ことをメインとした文化だといえます。

煎茶道を趣味としておこなっていた著名人としては、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、富岡鉄斎(とみおかてっさい)、夏目漱石(なつめそうせき)などがあげられます。

煎茶道とは

お茶会のマナーとは

抹茶の茶道(まっちゃのさどう:以下、抹茶道)のお茶会にお呼ばれした際に、よく聞くのが、以下の項目です。

・茶会への持ち物…黒文字(くろもじ:和菓子をたべる際の楊枝)や懐紙(かいし)と懐紙入れ、心ばかりのお品。

・茶会での服装…スーツ、着物、色、素材など。

・茶菓子の食べ方やお茶の頂き方。

・当日の流れ…何時に行って、どこに座るのか。 …etc

茶会がはじまる前から、じゅんびすることがたくさんありますね。

それでは煎茶道はの茶会はどうでしょうか。

煎茶道の作法・マナーってなに?

煎茶道の作法・マナーとは一体なんでしょうか。

まずは作法・マナーのそもそもの意味について、ためしに国語辞典で調べてみると、以下のような意味がでてきます。

①物事を行う方法。きまったやり方。きまり。しきたり。

②立ち居振る舞い、動作の正しい法式。

たしかに抹茶などのお茶会などにいくと、お茶をいただく順番があったり、正客(しょうきゃく)が床の間飾りについて聞かれていたりと、流派ごとのお茶会によって違う場面をよく見かけます。しかし煎茶道では、それがちょっと難しいのです。

じつは煎茶道の流派は、全国に300以上あるといわれており(※諸説あり)、その流派ひとつひとつの”きまったやり方、きまり、しきたり、立ち居振る舞い”を事前にカバーすることは、とても難しいのです。(煎茶道の全国組織である”全日本煎茶道連盟(本部:京都府宇治市)でさえ把握していない流派がたくさんあるといわれています。)

しかし先述したとおり、煎茶道は”文化をたのしむ”ことを目的としています。ただでさえ煎茶道人口が減っているいま、貴重な煎茶道の茶会に、マナーや作法がわからないいった理由だけで参加を断念するのはもったいないです。

なので最低限、茶会を用意してくださった方へ、”感謝の気持ちがつたわる作法やマナーをされる”のが一番よい方法だと思います。

わたくしどもの流派である、黄檗売茶流(おうばくばいさりゅう)の茶会を例にあげて、説明していきます。

京都宇治にある国宝・黄檗山萬福寺(おうばくさんまんぷくじ)での煎茶道の茶会

煎茶道の作法・マナーの一例

わたくしどもの流派である黄檗売茶流(おうばくばいさりゅう)で、お客様にお願いしていることは実は1つだけです。

「両手で茶碗をもって飲んでください。」

煎茶道は、おいしいお茶を淹れることを目的としておりますので、それだけ行っていただければ、その後に茶会をどうお楽しみいただくかはお客様にゆだねています。

また決してマナーというわけではありませんが、茶会を気持ちよく楽しむ立ち居振る舞いの例として、いくつか紹介させていただきます。

煎茶道を楽しむ作法やマナー例

・はこばれてきた煎茶碗(せんちゃわん)をお持ちになる前に、「頂戴いたします」とご挨拶いたしましょう。

お茶会は、主催された側とお客様の交流の場でもありますので、互いを尊敬しあう気持ちがあると、美しいです。

・一煎目(いっせんめん:1杯目のお茶)のあとに茶菓子をお召し上がりください。

煎茶道の茶会では、流派によっては二煎目、三煎目を淹れていただけます。茶葉に含まれている味が凝縮されている一煎目は、お茶本来の味をたのしみ、二煎目以降から茶菓子をお召し上がりいただくと、より美味しくいただけます。

・お茶碗は両手でしっかりと持って、お召し上がりください。

見ていて安心でいる所作は、美しく見えます。お茶会で、美意識を高めてみましょう。

・茶菓子は、付いてくる黒文字(くろもじ:楊枝のこと)で小さく分けて食べましょう。せっかくの和菓子ですから、口いっぱいに頬張らず、切ってからお召し上がりいただくと美しくみえます。干菓子やお饅頭(薯蕷まんじゅうや酒まんじゅう)がでてきた際は、黒文字は付いてきませんので、そういったときは手でお召し上がりください。

煎茶道の茶会「野点(のだて)」の様子

煎茶道の作法・マナーについての私見

”型どおり”という言葉が日本文化の伝統芸道の中には共通言語としてありますが、煎茶にはほとんどないように思えます。

亭主とお客様が掛け合いをし、その空間を楽しむことが目的であるため、逆に型があるほうが難しいのです。それだけにいわば自由なむずかしさがあるということだと思います。

お茶を飲んでお客様が楽しんでいるようでしたら、書画を描いたり、一首詠んだり、琴を弾いたり、語らいをしたり、その一座の雰囲気をの楽しむことが煎茶文化だと考えております。お客様をむかえる亭主にとっては、決まった動きをするのではなく、いかにお客様に楽しんでいただくかに注視し、心配りをすることが大切だと言われます。

ゆえにお茶会やお稽古にくるお客様には、縁あってご参加いただいている一座ですので、お菓子やお茶をいただくそのひと時への感謝の気持ちをもっていただく、それだけで良いのです。なのでぜひ煎茶道の茶会や体験、ワークショップなどにも、どんどん遊びに来てくださいね。

いかがでしたでしょうか。

煎茶道のお茶会は、お客様に茶文化を楽しんでいただくことを目的としておりますので、お茶会の前に作法・マナーを覚えなきゃいけないのかな、、、など気にせず、ぜひお気軽にお越しください。

いっしょに日本文化を楽しみましょう。

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