煎茶道と茶道の違いとは
こんにちは。
煎茶道 東叡山翼仙(せんちゃどう とうえいざんよくせん)教室の翼仙です。
今回は煎茶道と茶道の違いについてご説明する記事です。
みなさんは煎茶道ってご存じですか?
皆さんは煎茶道(せんちゃどう)という伝統芸道(でんとうげいどう)をご存知でしょうか。
茶道(ちゃどう)と同じように見えますが、そこまで知名度が高くなく、しかし全国に数百の流派があると言われています。
煎茶道を趣味としておこなっていた著名人としてよくあげられるのは、江戸時代の京都の画家である伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、明治時代の日本画家である富岡鉄斎(とみおかてっさい)、「日本外史」で有名な頼山陽(らいさんよう)、「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」など夏目漱石(なつめそうせき)などがあげられます。
今回はそんな”知る人ぞ知る”に煎茶道を、「煎茶道と茶道の違い」というテーマに基づいて説明していきます。

煎茶道のお道具での違い
煎茶道と茶道の大きな違いは、まず「お茶の淹れ方」にあります。
みなさまご存知の茶道では、茶葉を粉末にした抹茶を、茶筅(ちゃせん)という茶道具をもちいてお茶を淹れます。
煎茶道では、茶葉をそのまま使用し、急須(きゅうす)を使用してお茶を淹れます。
そのため、煎茶道と漢字のとおり”煎茶”を淹れることはもちろん、玉露や茎茶(くきちゃ)、ほうじ茶、紅茶、そしてなんと日本酒までお客様にお出しできます。
また煎茶道具(せんちゃどうぐ)は、磁器(じき)の焼き物を使うことが多いです。
陶石(とうせき)が原材料となっている焼き物が磁器で、江戸時代に磁器生産の本場であった中国から輸入された文化がベースとなっているのが煎茶道です。
そのため使われる煎茶道具は、磁器製のものがおおいです。
煎茶道との精神性での違い
また煎茶道と茶道の大きな違いとして、精神性の違いが挙げられます。
これはビジョンの部分なので、庶流派によって異なりますし、いわゆる”諸説あります”という部分ですので、あらかじめご了承ください。
煎茶道と茶道を、どちらも習ったことがあり、その経験から強く感じたのですが、茶道は自らを律する修行のような傾向が強く、煎茶道はお客様とお茶や文化を一緒に楽しむサロンといったイメージが強いです。もちろん指導する先生や流派の方針で異なると思います。
煎茶道では先ほど述べたように、煎茶や玉露(ぎょくろ)、ほうじ茶、紅茶(こうちゃ)、日本酒(にほんしゅ)などさまざまな嗜好品(しこうひん)を使用します。昔から煎茶道の茶会では、茶会を主催した亭主(ていしゅ)とお客様の話が長時間に及ぶことが多く、煎茶が飽きたら玉露、夜になったら日本酒、気分を変えたくなったら紅茶、といったように、どんどんお出しするものを変えていったようです。
お茶会という場で、お客様が飽きずに長くいていただく工夫の1つなのかもしれません。

煎茶道大阪教室の講師でありブログ記事の執筆者。
大学卒業後、500年続く京都の老舗和菓子屋に勤めるかたわら、煎茶道教授資格を取得。
煎茶道歴は11年以上、大阪の陶磁器・骨董店「笹船屋」にて茶会や煎茶道教室を主催。
専門や地方の工芸品、焼き物・陶磁器、民芸品、和菓子、民俗学。