茶道・煎茶道と宮城県その⑤|宮城県の民芸品について
目次
宮城県の民芸品についてご紹介します。
こんにちは。
煎茶道翼仙教室の翼仙(よくせん)です。
今回は、宮城県のおすすめ民芸品ショップをご紹介させていただきます。
民芸品とは
民芸品(みんげいひん)とは、庶民生活の中から作り出されたその地方独特の手工芸品のことです。よく聞く工芸品との違いは、工芸品が主に鑑賞目的で作られた美術品であるのに対し、民芸品は調理道具や手ぬぐいなど日常で使われる道具を指します。
「民芸」は、元は「民衆的工芸」の略で、1925年に柳宗悦(やなぎむねよし)氏、陶芸家の河井寬次郎(かわいかんじろう)氏、濱田庄司(はまだしょうじ)氏の3人によって提唱された造語で、生活必需品であるモノの中にある美意識、つまり「実用の美」を見出しものです。
なぜ民芸品と茶道・煎茶道が関係あるのか。
現在の茶道具や煎茶道具のなかには、地域の民衆工芸品を保護・振興し、定番のものとなったお道具が少なくありません。
例えば床の間に掛ける滋賀県の大津絵や、竹網の籠、赤膚焼や備前焼など地方の焼き物もあげられます。
地域で行われる茶会では、その地方のものをつかわれることがよくありますし、それを目当てにお茶会にいらっしゃる方もいます。
また民芸運動の創設者である柳宗悦は、仏教と縁が深い茶道の精神は民藝運動と同一であるという信念の上に立ち、「茶」の世界においても民芸との合流を目指し、独自の世界観を展開しました。
そして宮城県は茶の湯文化が根付く県です。藩祖である伊達政宗公が千利休の弟子でもあり、江戸時代から日本茶文化が盛んなエリアでした。今でも宮城県内には、茶道や煎茶道で使われる茶室が多くの残されています。
ゆえに、今回は私がおすすめする宮城県の民芸品をいくつかご紹介します。
ぜひ茶の湯以外でも、ご自宅やご家庭でもおつかいいただけますと幸いです。
人間国宝・芹沢銈介(せりざわけいすけ)氏も愛した、宮城県鳴子こけしのお店「老舗高亀」

宮城伝統こけしには4つの宮城のこけしが含まれています。鳴子こけし、弥治郎こけし、仙台こけし、遠刈田こけし。
そのなかでもこけしの元祖といわれるのが鳴子こけしです。
こけしとは、湯治客の土産物として子供が遊べる人形と知られています。じつは滋賀県東近江市からはじまった木地師の技術がベースにあり、鳴子こけしのある宮城県大崎市には、木地師の小椋家住宅などの文化財が残されています。木地師の文化を醸し出す、味のある民芸品です。
老舗高亀(しにせたかがめ)は宮城県鳴子温泉で木地の日用品・玩具の店としてはじまり250年の歴史を持つ老舗です。鳴子こけしの製作・販売をしており、通販(ネットショッピング)も可能です。
民芸運動家である柳宗悦氏の御子孫である工業デザイナー柳宗理氏が、老舗高亀のためにデザインした鳩笛を手掛ける工房としても知られています。
老舗高亀の基本情報
住所: 〒989-6823 宮城県大崎市鳴子温泉湯元88
営業時間:7時30分~21時30分
問合せ先:0229-83-3431
宮城県に惚れ込んだ、”染め”の人間国宝「芹沢銈介美術工芸館」
東北福祉大学 芹沢銈介美術工芸館(せりざわけいすけびじゅつこうげいかん)は、宮城県仙台市宮城野区榴岡の東北福祉大学・仙台駅東口キャンパス内に開設された美術館。国の重要無形文化財に指定された染色技術である「型絵染」の技術保持者に認定された芹沢銈介を顕彰し、その作品と民俗資料コレクションを展示する
芹沢銈介美術工芸館の基本情報
住所:〒983-8511 宮城県仙台市宮城野区榴岡2丁目5−26
問合せ先:TEL022-717-3318
アクセス:仙台駅東口から徒歩5分
奈良時代からつづく”正藍冷染め”の人間国宝・千葉あやの氏の作品が楽しめる「愛藍人・文字」

宮城県栗原市栗駒の千葉あやのさんは、「正藍染(しょうあいぞめ)」として「国指定重要無形文化財保持者」(人間国宝)に認定されました。藍染めの世界では、日本唯一だそうです。
愛藍人・文字(あいらんど・もんじ)は、日本最古の染色方法「正藍染」と文字地区の魅力を紹介する施設です。
藍染め体験工房や製品の展示・販売のほか、地元の食材を味わえる食堂、直売所もあります。
正藍染とは、熱を加えないで自然に発酵させた藍液を用いて行う藍染めのことだと言われております。しかし先述した民芸運動家の柳宗悦氏は、明治以降の海外から輸入された化学的な染色に対して、矜持を持って「正藍染」と称したと説明しています。
いずれにしても、この宮城県に残る美しい文化を、どのようにつかうか、考えるだけで楽しくなります。
愛藍人・文字の基本情報
住所:〒989-5361 宮城県栗原市栗駒文字鍛冶屋103
入館料:無料
営業時間:10時00分~14時00分※水曜日定休
問い合わせ先:0228-47-2141
伊達家300年の技術、孟宗竹の北限、宮城県大崎市の「岩出山しの竹細工」

1716年~1736年(江戸・享保年間)ごろ,岩出山(現在の宮城県大崎市岩出山)第4代城主伊達村泰公が、京都から竹細工職人を招いて武士の手仕事として奨励したのが始まりと伝えられています。大崎市は宮城県でも山沿いの地域、雪深く、武士や農民の内職として、いまも続いている技術です。
以来300年以上の伝統を受け継ぐ、宮城県を代表する民芸品です。
実際にお土産購入やワークショップで竹細工が体験できる施設をご紹介します。
大崎市竹工芸館の基本情報
住所:〒989-6436 宮城県大崎市岩出山字二ノ構115
問合せ先:Tel:0229-73-1850
営業時間:9:00~17:00
アクセス:JR陸羽東線「岩出山駅」から徒歩10分

煎茶道大阪教室の講師でありブログ記事の執筆者。
大学卒業後、500年続く京都の老舗和菓子屋に勤めるかたわら、煎茶道教授資格を取得。
煎茶道歴は11年以上、大阪の陶磁器・骨董店「笹船屋」にて茶会や煎茶道教室を主催。
専門や地方の工芸品、焼き物・陶磁器、民芸品、和菓子、民俗学。