薩摩焼(さつまやき)とは|特徴や種類、良さや美しさなど解説

美しき薩摩焼(さつまやき)の良さや特徴、種類をご紹介

薩摩焼(鹿児島) 渓山窯 酒器
鹿児島県の焼き物である白薩摩焼
鹿児島県の陶磁器である薩摩焼の1つ「白薩摩の急須」

鹿児島の伝統工芸品である薩摩焼は、他の地域にはない特徴や由来を持つ一風変わった焼き物です。

今回は鹿児島県の美しき陶磁器「薩摩焼(さつまやき)」について、良さや歴史、特徴、種類をまとめた記事です。

こちらの記事の執筆者は、焼き物・陶磁器好きの茶道家・翼仙(よくせん)です。

以下のような方におすすめの記事です。

  • 鹿児島県にお住まいの方
  • 焼き物や陶磁器について知りたい方
  • 薩摩焼に興味のある方

薩摩焼とは

薩摩焼(さつまやき)は、鹿児島県内で生産される陶磁器で、県が指定する伝統工芸品です。シンプルなデザインの黒薩摩焼、乳白色で貫入が魅力の白薩摩焼が有名です。その歴史は古く、文禄・慶長の役の頃、当時の薩摩藩主である島津(しまづ)氏が朝鮮から連れ帰った李朝の陶工たちによってはじめられました。

以来400年以上に及ぶ長い歴史の中で、薩摩焼は鹿児島の豊かな風土に育まれるとともに、陶工たちの弛まぬ努力によって美しさに磨きがかかり、日本を代表する焼き物となりました。

薩摩焼の歴史は,朝鮮出兵(文禄・慶長の役1592~98)に参加した島津義弘が朝鮮陶工を連れ帰ったことに始まる。慶長3(1598)年鹿児島前之浜,東市来神之川,串木野島平,加世田小湊に陶工数十名が上陸した。

引用元:鹿児島県/薩摩焼  

薩摩焼の特徴

薩摩焼の特徴は、白薩摩と黒薩摩のそれぞれ2つの色合いで陶磁器が生産される点と、白薩摩の美しく細かい絵付けにあります。白薩摩は白土で成形された器の表面に絵付けをして、磁器のような華やかな美しい絵付けがされます。黒薩摩は、鉄分の多い黒褐色の土を厚く成型し、その器の表面に黒や褐色、緑系の釉薬などを使用して、黒っぽく焼き上げます。丈夫で使いやすく、シンプルなデザインが黒薩摩の魅力であり良さです。

薩摩焼の種類とは

薩摩 龍門司焼 白蛇蝎

薩摩焼の種類は、白薩摩(しろさつま)と黒薩摩(くろさつま)の2つに分けることができます。文字通り見た目の色でわかれます。そして白薩摩と黒薩摩の種類の中で産地別に名称が変わっていて、竪野系、龍門司(りゅうもんじ)系、苗代川(なえしろがわ)系、西餅田(にしもちだ)系、平佐(ひさら)系、種子島系と呼ばれ、地名によってさらに6種類ものカテゴリーに分けられます。

白薩摩焼とは

白薩摩は、表面に貫入(かんにゅう)というきめ細かいヒビの入った白肌に、美しい絵付けや透かし彫りが施された絢爛豪華な陶器です。鹿児島の火山性の地質を、温泉の熱水が風化させてできた白土が、白薩摩の原料です。

かつては島津家御用の品として作られていた高級品で、一般の人は使うことが出来ませんでした。白薩摩は、何色かの色が浮いている土や陶石をの手作業で除いて、極限まで白色に近づけから絵付けをする、とてつもない労力がいる焼き物です。器の表面には、赤色や黄色などの様々な顔料を用いて、美しく細かい絵付けがされます。金彩を施した華やかさや、ミリ単位で調整する透かし彫りなどの繊細な造形も加わり、装飾の美しさを極限まで高めた陶磁器の芸術品です。

ちなみにこういった白い焼き物を生産する地域は兵庫県の出石焼佐賀県の陶磁器の伊万里焼・有田焼などが有名です。鹿児島はご存じのように桜島など活火山を保有する地域であるため、頻繁に火山灰が舞っているため、土地に火山灰の地層をつくってしまいます。火山灰は鉄分が多く、色が黒かったり茶色かったりするため、他の地域と比べて余計にこの白薩摩が貴重だったようで、島津家のみが使える焼き物となったそうです。

黒薩摩とは

黒薩摩(くろさつま)は、大衆用の日用雑器として焼かれていた陶器で、鉄分含有量が多い土を用いるため、見た目が黒くなるのが特徴の焼き物です。特に、”黒ぢょか”と呼ばれる素朴な土瓶(どびん)は、薩摩焼酎(さつましょうちゅう)や 日本酒の酒器に使われます。別に「黒もん」とも呼ばれます。装飾がなく、使いやすさを追求した”実用の美”が黒薩摩の良さであり魅力です。

薩摩焼の口コミやレビュー

薩摩焼の白薩摩のレビュー

鹿児島県で薩摩焼の良さや美しさを楽しめるスポットをご紹介

薩摩焼の良さや美しさ、特徴を説明してきましたが、ここで鹿児島県の現地で薩摩焼の魅力が楽しめるスポットをご紹介します。

鹿児島県内には今も沢山の薩摩焼の窯元があり、日々薩摩焼が生産されています。

そこで一般の方でも楽しめる薩摩焼施設を解説します。

鹿児島市のすぐ近くにある薩摩焼スポット「沈寿官窯」

鹿児島県の黒薩摩焼
黒薩摩焼(くろさつまやき)の黒ぢょか

鹿児島市内から西へ西へとバスに揺られて美山 (みやま) というバス停に降り立ちます。 バス停「美山」のすぐそばにあるのが、「沈壽官窯 (ちんじゅかんがま)」です。15代続く薩摩焼の陶芸家の名門で、国の伝統的工芸品指定を受けている薩摩焼の中でも白薩摩を中心に生産する窯元のひとつです。

 沈壽官窯とは、鹿児島県日置市東市来町美山にある薩摩焼を代表する窯元です。その歴史は約400年ほどつづく薩摩焼の歴史と匹敵するほど長く、薩摩焼といれば沈寿官窯とよばれるほど窯元で、”竜馬がゆく”や”坂の上の雲”で有名な司馬遼太郎(しばりょうたろう)氏の短編”故郷忘れじがたく候”で一気に有名になったそうです。

薩摩焼の沈壽官窯が描かれた書籍
薩摩焼のことについて描かれた司馬遼太郎「故郷忘れじがたく候」

鹿児島の地で伝統の技を継承しつつ、現代に確かな焼物作りを目指して、現当主の十五代沈壽官と工房の職人達が日々切磋琢磨しており、薩摩の歴史とともに歩み続ける窯元では、作品作りの工程を見学できます。

白薩摩の名門・沈壽官窯の門

薩摩焼窯元「沈壽官窯」の入り口につくと、何やら重厚な木造の立派な門が見えてきます。

一言で門といっても、日本における”門”も役割は大きく、その家の”格”を表すものです。たかが門ですが、わざわざ瓦屋根にしたり、漆を塗ったり、木彫りにしたりとするのが日本文化です。

沈壽官窯の門構えは、重厚そうでありながらもシンプル、”格”を大事にする薩摩藩らしさをうかがい知れます。

そして気になったのが木札に「大韓民国総領事館」と書かれているところです。

どうも1989年に、沈壽官14代目の当主が、日韓の文化交流に尽くしたことを評価された受け取られたものらしいです。素晴らしいですね。

鹿児島県の沈壽官窯の表門
鹿児島県の窯元「沈壽官窯」の門

薩摩焼は、かつて豊臣秀吉(とよとみひでよし)の時代に、朝鮮陶工(ちょうせんとうこう)が薩摩藩に連れてこられてはじめたものです。以降ずっと日本のこの地(鹿児島県)で焼き物を作り続けてこたれてますが、自分たちの技術のアイデンティティーはどこにあり、それを忘れないという考え方は、とても素敵だと思います。

司馬遼太郎さんの「故郷、忘れじがたく候」も、沈壽官14代当主へのインタビューから描かれた作品で、タイトルに”忘れじがたく”と入れるのは、そういう想いを、司馬さんが、沈壽官当主から感じとったからでしょうか。

また門にはもう1つ気になるものがあります。

こちらの門の礎石部分に彫られている「石敢当」の文字です。

薩摩焼の沈壽官窯
鹿児島県の窯元「沈壽官窯」の門にある”石敢当”

石敢当(いしがんどう)とは、中国から伝わったもので、道路の三叉路(さんしゃろ)の突き当たりや門・橋などに立てられた石柱で、石に敢えて当てて邪気を跳ね飛ばすといわれており、邪気を食い止めこれを追い払う威力を持つと信じられていたそうで魔除けとして、鹿児島県や沖縄県の家庭でみられるものです。

薩摩焼の作り方が分かる「登り窯」

沈壽官窯の表門をくぐり中に進むと、実際に薩摩焼の焼成時(しょうせいじ)に使用する登り窯を見学できました。

赤みがかった耐火煉瓦(たいかれんが)がドーム型に積まれ、こちらの窯小屋の上部にある梁(はり)の上には神棚(かみだな)が設置されています。

不勉強で申し訳ないのですが、こちらのようなドーム型の登り窯ははじめて見たタイプのものでして、沈壽官窯の独自のものなのでしょうか。許可をもらい写真撮影だけしました。

薩摩焼の沈壽官窯の登り窯
鹿児島県の陶磁器”薩摩焼”の登り窯

登り窯とは、焼成室(房)を斜面に複数連ねた窯の総称で、大量に陶磁器を生産できる窯のことです。炎の性質を利用し、一番下の焼成室で1000度以上の高温の火を焚いて、上の焼成室の陶磁器も焼成できるようになっています。薩摩焼を見学しながら、作り方も学ぶことができます。

日本での登り窯の歴史は、またに豊臣秀吉がいた戦国時代に、朝鮮陶工を連れてきた際に、この登り窯の技術が日本に渡ってきたといわれています。

実際に触ってみると、ツルツルしてる部分とザラザラと土感があるところに分かれていました。薩摩焼は釉薬を使用するため、その溶けた釉薬が液面に付着し、そのままコーティングされていたのでした。

また匂いや質感、実際に焼けたばかりのものも見せてもらいましたが、実際に行かないと感じとれない現地の雰囲気を文章にできず、あえて「ぜひ行ってみてください」とか書いて締めくくりたいと思います。(長くなりますから直に聞いてください笑)

薩摩焼の魅力を知りたいなら「沈壽官窯収蔵庫」

沈壽官窯の敷地内には、登り窯や工房以外に、ギャラリーショップや薩摩焼の資料館である沈壽官窯収蔵庫(ちんじゅかんがましゅうぞうこ)があります。

館内には、華道の花瓶や和菓子の菓子鉢など、沈壽官初代から、現当主までの作品を展示されており、薩摩焼の良さや美しさ、沈壽官窯の特徴、どういう考え方で焼き物を制作されているのかが理解できる内容となっております。

ちなみにわたしが興味をもった展示は、”京薩摩”(きょうさつま)でした。

ぜひ薩摩焼に興味を持たれた方に、おすすめしたい資料館でした。

また薩摩焼にもっと興味を持たれた方ように、鹿児島県内で薩摩焼をゆっくり鑑賞できるミュージアムや美術館をご紹介します。

沈壽官窯の基本情報

沈壽官窯の住所や問い合わせ先は下記の通りです。

  • 住所:〒899-2431 鹿児島県日置市東市来町美山1715
  • 問合せ先:099-274-2358
  • 開館時間:9時~17時
  • アクセス:JR伊集院駅からバスで10分、鹿児島市街地から約20分 (美山インター下車) 

鹿児島市立美術館

薩摩焼の黒千代香 長太郎焼窯元 鹿児島県

鹿児島市立美術館は、1954年に開館した九州で長い歴史を持つ美術館です。 薩摩藩主・島津氏の居城であった鶴丸城(つるまるじょう)二の丸跡に建ち、シックなベージュ色の外壁と緑色の屋根が、背後の城山の森と美しく調和しています

鹿児島県ゆかりの作家を中心として、19世紀末葉以降の西洋美術の作品を収集・保存、展示しています。所蔵品展では、日本の近代絵画の発展に貢献した黒田清輝(くろだせいき:1866年-1924年)や藤島武二(ふじしまたけじ:1867年- 1943年)、和田英作(わだえいさく:1874年-1959年)といった郷土作家の作品とあわせ、薩摩焼やガラス工芸の薩摩切子(さつまきりこ)の名品が数多く展示されています。

鹿児島市立美術館の基本情報

鹿児島市立美術館の住所や問い合わせ先は下記の通りです。

  • 住所:〒892-0853 鹿児島県鹿児島市城山町4−36
  • 問合せ先:0992243400
  • 営業時間 9:30~18:00(毎週月曜定休)
  • アクセス:JR鹿児島中央駅よりカゴシマシティビューバス「西郷銅像前」下車、徒歩1分|鹿児島市電「朝日通電停」下車、徒歩5分

長島美術館

長島県立博物館は、1989年に市の公式創設100周年にあたり、鹿児島県鹿児島市に開館しました。桜島と鹿児島湾を見下ろす高台にある高さ110 mの美術館で、実業家の長島浩介が収集した絵画、彫刻約300点、薩摩焼及び地方の窯別に収集された陶磁器、アール・ヌーヴォー・ガラス数千点の品々が収蔵されています。

長島美術館の基本情報

長島美術館の住所や営業時間は下記の通りです。

  • 住所:〒890-0045 鹿児島県鹿児島市武3丁目42−18
  • 問合せ先:0992505400
  • 営業時間 9:00~17:00(毎週水曜定休)
  • アクセス:JR鹿児島中央駅下車、徒歩15分、JR鹿児島中央駅下車、車で5分

鹿児島県立博物館

鹿児島県立博物館は、鹿児島県の豊かな自然を紹介する自然史系博物館です。こちらには薩摩焼が展示されていないのですが、焼き物や陶磁器はその土地の地質や気候、風習が影響されてくるものです。とくに鹿児島県は、火山地帯だったり、ユーラシア大陸と近く外国文化との交流があったため特殊な技術がはいってきたりと、この九州最南端の土地柄から調べることが、意外にも薩摩焼の新しい側面を発見するきっかけとなるかもしれません。こちらの博物館では、鹿児島県の民俗学、地質学、植物学を総合的に学べる施設です。ぜひご活用ください。

鹿児島県立博物館の基本情報

鹿児島県立博物館の住所や問い合わせは下記の通りです。

  • 住所:〒892-0853 鹿児島県鹿児島市城山町1−1
  • 問合せ先:099-223-6050
  • 営業時間 9:00~17:00
  • アクセス:鹿児島市電「天文館通電停」下車、徒歩10分

もっと焼き物や陶磁器に興味を持たれた方へ

陶磁器の世界は奥が深いですね。

ほかの焼き物や工芸品の産地に行って勉強したいと感じました。

鹿児島県で薩摩焼を販売しているおすすめのショップやギャラリーの記事を作成しましたので、こちらもぜひ合わせてご覧ください。

鹿児島県で焼き物を買うならおススメはここ!の記事です。

さらに日本全国の焼き物に興味を持たれた方におすすめの記事をご紹介します。日本の焼き物の種類や産地を一覧にしてまとめてみました。ぜひ一度ご覧ください。

次回はどの焼き物の産地になるのでしょうか。お楽しみに。

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