九谷焼とは?特徴や歴史、産地、現地レポートや販売店まとめ

九谷焼の産地や特徴、歴史を解説

こちらの記事は、石川県の焼き物である「九谷焼」について、特徴や歴史を解説動画や現地レポートを含めてまとめたものです。

執筆者は煎茶道大阪上本町教室講師の翼仙(よくせん)で、約8分ほど読める内容となっております。

以下のような方におすすめしたい記事です。

  • 器や丁寧な暮らしに興味のある方
  • 地域の伝統文化や工芸品に興味のある方
  • 焼き物・陶磁器に興味を持たれてる方など

九谷焼は、磁器(じき:陶石からつくる焼き物)であることが特徴ですが、磁器であるがゆえに、美しい色絵が描かれ”世界一美しい焼き物”と言われることもあります。

その美しさの秘密や、その技術力の背景にあるもの、ストーリーを勉強しに、石川県加賀市行った際の情報をまとめました。

九谷焼とは?

石川県の焼き物「九谷焼」の花器
石川県の焼き物「九谷焼」の花器

九谷焼とは、石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される色絵の磁器(じき)です。江戸時代に加賀国大聖寺藩(だいしょうじはん:加賀藩の支藩のこと)の九谷村の鉱山から陶石(とうせき:白色軟質の岩石のこと)が発見されたことと、加賀藩の職人が、今の佐賀県有田町で磁器作りの技術を学んで来たことによって、17世紀の半ば頃、九谷の地で始められたのが最初の九谷、つまり”古九谷”(こくたに)だといわれています。

九谷焼の歴史とは

九谷焼の歴史は、①江戸時代前期、②江戸時代後期、③明治時代~昭和時代前期、④昭和時代後期~現代、という4つの時期に大きく区分されます。また、九谷焼は360年の歴史の中から生まれた様々な絵付け様式があります。

初期のものが古九谷焼ですが、藩内の政治事情や後継ぎの問題で生産がストップし、一度古九谷は潰えます。再度職人を招致しておこなったのが”再興九谷”(さいこうくたに)です。大聖寺藩の有力商人であった豊田伝右衛門(とよだでんうえもん)の吉田屋窯(よしだやがま)を中心に、赤絵の宮本窯(みやもとがま)、金襴手(きんらんで)で赤絵との融合により豪華絢爛な焼き物となった永楽窯(えいらくがま)、素朴だがスマートなフォルムの青木木米(あおきもくべい)風の春日山窯(かすがやまがま)などが誕生し、九谷焼は隆盛を極めました。

九谷焼の特徴

九谷焼の特徴は、多彩な色合いで描かれる絵柄と、上絵付と呼ばれる技法です。九谷焼は、青緑色、黄色・赤色・紫色・紺青色の五色を用いて絵付けを行う、日本でも珍しい焼き物です。九谷五彩とも呼ばれ、器全体に鶴や鳥といった図柄が描かれたり紋様がデザインされて、一際華やかになります。また九谷焼は、釉薬を焼き付けた上から絵付けをする「上絵付」の技法を用います。そのため生産時間が必要となり、完成する作品も少なくなるのですが、世界でも類を見ない美しい器になります。

九谷焼の口コミやレビュー

九谷焼のレビュー
九谷焼のレビュー

石川県にある九谷焼スポットをご紹介

九谷焼発祥の地は、石川県加賀市です。現在でも多くの作家や職人が九谷焼の生産に携わっており、市内には窯元が点在しています。九谷焼にさらに興味を持たれた方に、加賀市の九谷焼関連スポットをご紹介します。

九谷焼を詳しく学べる「九谷焼窯跡展示館」

煎茶道ともゆかりのある九谷焼の資料館「九谷焼窯跡展示館」
石川県の九谷焼窯跡展示館の正面玄関
石川県の九谷焼窯跡展示館の正面玄関

北陸の名湯である加賀温泉郷・山代温泉(やましろおんせん)からほどちかく、九谷焼窯跡展示館(くたにやきかまあとてんじかん)があります。

こちらでは、古九谷を再興した吉田屋窯から宮本屋・九谷本窯と受け継がれる九谷焼窯跡が見ることができ、また九谷焼のデザインで絵付けや、ろくろの陶芸体験ができます。

住宅街の真ん中にあるので、見逃さないように気を付けてくださいね。

九谷焼窯跡展示館の館内の様子

拝観料を支払い、館内に入ると、何やら資料館とは思えない光景が見えてきます。

なんとこの展示館、九谷焼の職人さんが目の前で作業している光景が見えるのです。

九谷焼の職人さんが目の前で、お碗やお盆、皿などの成型や絵付けなどをしており、実際の工房の風景が想像できます。

九谷焼窯跡展示館内の作業場
九谷焼窯跡展示館内の作業場

そしてこちらの作業場には、成形して形を整えたばかりの作品が見れます。

これがあの色絵が特徴の九谷焼になるとは驚きですね。

逆にこれくらい白くないと色絵が引き立てれないということでもありますが。

九谷焼の絵付け前の様子
九谷焼の絵付け前の様子

九谷焼は。陶石(とうせき)から磁器作りのもととなる粘土を作り、ろくろや鋳込(いこみ)等の技法で素地を作ります。

色付けはより”細かい絵”を”丹念”(たんねん)に描き入れます。(記事下で、この言葉の意味が分かります。)

力強い白と黒の水墨画のような絵に、まだ色が出ていない状態の色絵具をそっとのせるように置きます。この絵具が炎により美しく発色し、ガラス質に変わって、白地の磁器が色鮮やかに生まれ変わります。線書きの筆使いの鋭さと、上絵具の重厚さから九谷焼が生まれます。

九谷焼の陶石

こちらが九谷焼のベースとなる陶石です。

真っ白や石を粉砕し、粉末にしたものを使います。

煎茶道具にもつかわれる九谷焼の原材料「陶石」
煎茶道具にもつかわれる九谷焼の原材料「陶石」

こちらが九谷焼の完成イメージです。

さきほどの陶石を見てから改めて拝見すると、白さがあるから、色絵がより際立っていることがわかります。

九谷焼の襖の引手
九谷焼の襖の引手

赤絵の九谷焼

こちらが赤絵の九谷焼です。

九谷焼の特徴の1つですが、器の表面全体が赤く色づけされているのがわかります。

ちょっと遠いので近くで見てみましょう。

レトロな九谷焼
レトロな九谷焼

この吸い込まれそうな朱が美しいですね。

先述したように、九谷焼の特徴として、丹念に絵が描かれている点をあげました。

こちらが分かりやすい器になるので、手前にある拡大鏡で、もっと近づいてみて、デザインを見てみましょう。

石川県の焼き物「九谷焼」
石川県の焼き物「九谷焼」

こちらが拡大鏡を通してみたデザインです。

なんと百人の仙人が描かれています。

拡大鏡を通してみないと分からないほど細かく描かれています。

九谷焼の細かいタッチで描かれた仙人図
九谷焼の細かいタッチで描かれた仙人図

こんな細かい意匠ははじめてみました。

もっと九谷焼に興味を持ちましたね。

九谷焼の登り窯や錦窯(にしきがま)

石川県の陶磁器である九谷焼の登り窯

さらに館内を奥に進むと、九谷焼の穴窯や登り窯が展示されていました。

昭和15年に作られた、九谷焼としては現存最古の登り窯です。昭和40年頃まで実際に使われていたそうです。

一回の窯詰めで約1000個入ったそうです。

石川県加賀市にある九谷焼窯跡展示館

さらに奥に進むと、江戸時代前期に作られた”古九谷”のような色絵磁器を復活させようと、大聖寺の豪商豊田伝右衛門が江戸時代後期に築いた吉田屋窯の跡(国指定史跡)を、発掘された状態のまま公開されていました。

九谷焼の登り窯跡
九谷焼の登り窯跡

大きさでいうと、フットサルコート2枚分ぐらいあります。

文政9年(1826)、大聖寺の豪商吉田屋伝右衛門によって九谷村から移されて以降、同一場所で作り替えや修理を繰り返しながら昭和15年まで受け継がれた再興九谷の登り窯跡で、生産量はさきほどの小規模の登り窯の比じゃありません。

ここで焼かれた”再興九谷”が全国、全世界に輸出されていったのですね。

登り窯の横には、現在も稼働している錦窯がありました。

こちらはいまも職人さんが年に数回つかっていて、さきほど入り口でつくられていた作品に色付けした後にこちらで焼いて、販売もするそうですね。松の割木を燃料にして、風合いを出しながら焼成していくそうです。

九谷焼の色絵釉薬用の穴窯
九谷焼の色絵釉薬用の穴

小さい館だったので、どんなものが見れるのかと思っていましたが、なかなかのボリュームでした。

こちらでは絵付け体験やロクロの陶芸体験なども定期的に行われているので、ぜひ石川県に訪れた際には、寄ってみてください。

九谷焼窯跡展示館の基本情報

九谷焼窯跡展示館の営業時間や問合せ先をご紹介します。

  • 住所:〒922-0242 石川県加賀市山代温泉1丁目101−9
  • 入館料:一般 350円 / 75歳以上 170円 / 団体(20名以上) 290円
  • 開館時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
  • 問合せ先: TEL 0761-77-0020 / FAX 0761-77-0031 / E-mail kamaato@kagacable.ne.jp
  • アクセス:(電車)JR加賀温泉駅で下車、駅からタクシーで10分、(自動車)北陸自動車道 加賀インターから、国道8号線で金沢・小松方面に向かって20分

究極の九谷焼を見たいなら「石川県九谷焼美術館」

石川県九谷焼美術館
石川県九谷焼美術館

石川県九谷焼美術館は、九谷焼発祥の地である石川県加賀市の中心部に建てられた陶芸美術館です。JR大聖寺駅(だいしょうじえき)のほど近く、「古九谷の杜親水公園」の一角に位置しております。

青手、色絵五彩手、赤絵金襴手と呼ばれる上絵付けの三様式にあわせて、青手の間、色絵五彩の間、赤絵金襴の間として数多くの作品が展示されています。また古九谷をふくめて雰囲気の異なった展示空間を、それぞれ趣向を凝らした展示室に作品を並べ、360年以上の歴史を持つ九谷焼の魅力を紹介しています。

ちなみにお車でいらした方は、石川県九谷焼美術館のとなりにある加賀市立中央図書館駐車場を利用することをおすすめします。

石川県九谷焼美術館の基本情報

石川県九谷焼美術館の営業時間や問合せ先をご紹介します。

  • 名称:石川県九谷焼美術館
  • 住所:〒922-0861 石川県加賀市大聖寺地方町10−13
  • 問合せ先:+81761727466
  • 開館時間:9:00–17:00 ※ご入館は16:30まで、月曜休館 (祝日の場合は開館)
  • アクセス:JR大聖寺駅から徒歩で7分。

美しい九谷焼を購入できる「九谷焼窯元 須田菁華」

九谷焼窯元「須田菁華」(すだせいか)
九谷焼窯元「須田菁華」(すだせいか)

九谷焼窯元 須田菁華は、日本を代表する芸術家・北大路魯山人(きたおうじろさんじん)が、初代から作陶を学んだ窯元です。現在は4代目を作陶されており、今も登り窯で器を焼くなど、初代の頃からの手法を守る、伝統的な工房です。

作品としては、染付(そめつけ)、祥瑞(しょんずい)、呉須赤絵(ごすあかえ)、古赤絵(こあかえ)、古九谷(こくたに)などの倣古作品を得意としており、茶碗や皿、お碗など生活でもつかえる作品が販売されています。

やはり歴史と伝統があり、1つ1つの作品は高いですが、急須やお皿のフォルムや手触り、絵付けのデザインや色絵の具合を見ると、段違いに美しいことがわかります。

お気に入りの品を見つけて迷っているようでしたら、ぜひ購入されることをおすすめします。

九谷焼窯元 須田菁華の基本情報

九谷焼窯元 須田菁華の営業時間や問合せ先をご紹介します。

  • 名称:九谷焼窯元 須田菁華(くたにやきかまもと すだせいか)
  • 住所:〒922-0253 石川県加賀市山代温泉東山町
  • 開館時間:9時~17時(不定休)
  • 問合せ先:0761-76-0008
  • アクセス:JR北陸本線「加賀温泉駅」から加賀温泉バス(山中温泉行き・所要約15分)「山代温泉」下車すぐ

自宅用に購入した九谷焼の盃(さかずき)と御猪口(おちょこ)

今回も、毎晩の楽しみである晩酌ように、九谷焼の盃を購入しました。

青九谷で、日本酒を注ぐ凹面だけでなく、裏面にも青海波(せいがいは:日本の伝統的な波の文様のこと)がデザインされています。

煎茶道具でもよく見られる石川県の焼き物「九谷焼」(くたにやき)の盃

こちらはお土産屋さんに売っていた、大量生産タイプの九谷焼おちょこ?そば猪口?です。

黄色い九谷焼風の表面に、 如意宝珠(願いのかなう宝のたま)、宝やく(かぎ)、打ち出の小槌、金嚢(きんのう、金銭を入れる袋)、隠れ蓑(かくれみの)、など宝物を集めた”宝尽くし紋”です。安価で購入できますので、石川県土産におすすめです。

煎茶道でもよく使われる九谷焼の御猪口(おちょこ)

九谷焼の加賀市を訪れたら外せない!「山代温泉 古総湯」

石川県加賀市にある山代温泉「古総湯」

こちらは番外編ですが、ぜひこの地にきたら寄ってほしいのが、温泉型博物館である「山代温泉古総湯」です。

石川県の歴史的町並みが見れる「湯の曲輪」(ゆのがわ)の真ん中にあります。

明治時代の総湯を復元した立派な建物で、むかしの山代温泉にタイムスリップしたような趣があります。

山代温泉古総湯の基本情報

山代温泉古総湯の所在地や問合せ先をご紹介します。

  • 名称:山代温泉 古総湯
  • 住所:〒922-0242 石川県加賀市山代温泉万松園通2番地1
  • 問合せ先:+81761760144
  • 開館時間:6時~22時
  • アクセス:JR北陸本線「加賀温泉駅」から加賀温泉バス(山中温泉行き・所要約15分)「山代温泉」下車すぐ

江戸時代の温泉場は、共同浴場を中心として、まちがつくられていました。

共同浴場の周りに温泉宿が立ち並び、湯治客は共同浴場に通ったり、ときには自然の中を散策しながら長逗留していました。

ここ山代温泉は3つの泉質をもった温泉が湧き出る北陸を代表する温泉街、日本の歴史を味わう意味でもぜひ立ち寄ってほしいところですね。

石畳のロータリーに、柳の木や木造建築の宿がまわりに建っており、雰囲気が抜群です。夜は浴衣姿で下駄をカランコロンといわせて歩きたい場所ですね。

焼き物・陶磁器に興味が出てきたら読んでほしい記事

九谷焼は色合いもさることながら、意匠やデザイン、絵付けなど、華やかで美しい焼き物です。

わたしが開催する煎茶道のお茶会やお稽古では、こういった現地で学んだことを一緒に伝えて語り合える会にしていきたいですね。

さらに日本全国の焼き物に興味を持たれた方におすすめの記事をご紹介します。日本の焼き物の種類や産地を一覧にしてまとめてみました。ぜひ一度ご覧ください。

九谷焼もとても興味深いですが、日本各地には、他にも個性的で美しい焼き物がたくさんあります。

ぜひこちらんも記事も合わせてご覧ください。

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