売茶翁ゆかりの下鴨神社へ|煎茶道の祖と京都最古の神社

売茶翁ゆかりの京都下鴨茂神社
煎茶道の祖である茶売茶翁ゆかりの京都下鴨神社

今回は煎茶道の祖ともいわれる高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)にかんする記事です。

こちらの記事では、売茶翁ゆかりの下鴨神社について、その歴史や言われなど、画像や動画での現地レポートを含めてご紹介していきます。

執筆者は煎茶道大阪上本町教室講師の翼仙(よくせん)で、約5分ほどで読める内容になっています。

以下のような方におすすめしたい記事です。

  • 日本茶や茶文化に興味がある
  • 神社仏閣の歴史について勉強している
  • 京都の歴史に興味がある

売茶翁(ばいさおう)とは

伊藤若冲作「売茶翁図」京都相国寺承天閣美術館蔵

高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)とは、江戸時代前期に、日本三禅宗の1つ黄檗宗(おうばくしゅ)の禅僧として活躍した人物です。その風貌から茶の仙人、煎茶道(せんちゃどう)の中興の祖といわれており、本名は柴山元昭、幼名は菊泉と言います。法名は月海で、還俗後は高遊外(こうゆうがい)とも称されています。

京都の東山、東福寺(とうふくじ)や三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)、聖護院(しょうごいん)などの景勝地に自在に茶店をもうけ、茶代を飲む者にゆだね禅を説きながら茶を煎じて飲ませた売茶翁のもとには、多くの文人墨客(ぶんじんぼっきゃく)が集まり、いつしか「売茶翁に一服接待されなければ一流の風流人とはいえぬ」とまで言われていたとか。

千利休が侘び茶の祖・茶聖と称されるのに対し、煎茶の祖・茶神と呼ばれ、煎茶道を習うもので知らない人はいない、という存在です。

売茶翁と下鴨神社

茶仙・売茶翁ゆかりの京都下鴨神社
売茶翁ゆかりの京都下鴨神社

上記にもあるように、売茶翁は京都の各所で移動式の喫茶店である「通仙亭(つうせんてい)」を開くことを生業(なりわい)としており、お茶を煮て、お客様にお出ししては禅を説く、まさに”売茶翁”だったわけですが、今回は、その中でも世界遺産「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」と売茶翁の関係に注目して、まとめてみました。

売茶翁ゆかりの下鴨神社を動画で現地レポート

ーーーー基本情報ーーーー

  • 住所:〒606-0807 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
  • 問合せ先:0757810010
  • 拝観時間 6:30~17:00
  • アクセス:京阪電車「出町柳駅」から徒歩10分、京都市営地下鉄「今出川駅」から徒歩20分

下鴨神社(しもがもじんじゃ)とは、正式には賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)と言い、京都市左京区に位置する神社で、山城国一宮を冠された、平安時代からすでに京都に建っていた歴史深い神社です。

京都の中心にありながら名水が出る場所としても知られており、お茶を淹れる水につかうと美味しかったとか。

旧社格は官幣大社(かんぺいたいしゃ:日本において官(朝廷、国)から幣帛ないし幣帛料を支弁される神社)で鴨川と高野川(たかのがわ)に挟まれた地で、京都一の明泉として古来より人々の信仰を集めてきた、京都で最も古い神社のひとつです。

中でも境内にある社叢林(しゃそうりん)である「糺の森(ただずのもり)」は、古代の姿を今に伝える緑豊かな参道です。約12万平方メートルにおよぶ広大な森ではケヤキやエノキ、ムクノキなど約40種、樹齢200~600年の原生林が生い茂り、秋は紅葉やイチョウが美しく、季節ごとにライトアップや市民バザー、伝統的な行事である”流鏑馬神事”(やぶさめしんじ)が行われたりします。

売茶翁も煎茶を淹れた「糺の森(ただすのもり)」を実際に歩いてみた。

世界遺産である京都・下鴨神社の参道「糺の森」(ただすのもり)

”世界文化遺産”と書かれた石碑をこえ、一歩、この鬱蒼(うっそう)と木々が生い茂る参道にはいると一気に雰囲気が変わります。経済都市でもある京都、都会独特の騒がしさや自動車の騒音が、出町柳駅からここまで歩いてくる途中気になりましたが、この参道にはいると、静粛につつまれた空間に驚きます。

風が吹くと木々の擦れる音や、小鳥のさえずり、小川のせせらぎが聞こえてきます。

京都は平安京(794年~)としてはじまって以来、鴨川を中心に開拓されていきました。鴨川の由来は、この京都をひらいた加茂一族(かもいちぞく)に由来し、この下鴨神社は、加茂一族の氏神です。

ゆえにこの下鴨神社と、上賀茂神社(賀茂別雷神社:かもわけいかづちじんじゃ)は、神聖視され、古来より手付かずの場所として守られてきました

ここで一つの詩をご紹介させていただきます。

高遊外売茶翁の研究の第一人者である大槻幹郎氏ば売茶翁の詩を注訳された「売茶翁偈語」(ばいさおうげご)。

偈(げ)とは、仏典でいう詩のことです。

高遊外売茶翁が当時、下鴨神社にて詠まれた詩です。

売茶翁偈語 32携友遊糺

乗秋二客伴通仙 来煮洛陽第一泉 甘味依然非世味 清談茶熟到幽玄

友を携えて糺に遊ぶ 秋に乗じて 二客を通仙に伴う 来たって煮る 洛陽第一の泉 甘味依然として世味に非ず 清談 茶熟して 幽玄に到る。

友人を引き連れに、下鴨神社の糺の森に遊ぶ。秋の日を幸いに、友人二人をお茶の席に伴おうと、糺の森に来て京の都一番の泉を汲んで茶を煮る。うまみのある味は変わることなく、世間にありきたりのものではない。俗を超えた高尚な談話のうち、茶のよくでた味わいに、おのずと幽玄の世界に引き入れられる。

出典:売茶翁偈語訳注 大槻幹郎 

下鴨神社「糺の森」の由来とは

下鴨神社「糺の森(ただすのもり)」の由来
下鴨神社「糺の森(ただすのもり)」の由来

下鴨神社「糺の森」の由来とは、とても透き通った、美しい水、ゆえに直澄(ただす)、それが時をこえて”糺す”(ただす)になったと、下鴨神社境内にある資料に書かれていました。

京都が平安京としてこの地に都としてつくられる前よりある下鴨神社、その参道にある「糺の森」は、名水が湧き出る地としてあがめられ、それゆえに鴨川の水源の神地・信仰の地として守られてきました。

「糺の森」は、どうやらそこが由来・語源と関係してきているそうです。

神話の手水舎

下鴨神社にある神話の手水舎
下鴨神社にある神話の手水舎

「糺の森」を進むと、大きな朱鳥居の前には、どこの神社にもある手水舎がありました。

しかしなんとこの手水舎の手水鉢、この下鴨神社の御祭神の神話伝承に基づく舟形の磐座石です。

磐座とは、古神道における岩に対する信仰の名称で、要は岩に神様が宿っているということです。

そして糺す森から生まれる清浄な水を磐座石に流すのでは、かつてこの原生林である糺す森の最高齢であった樹齢600年のケヤキです。

なんともありがたい手水舎でしょうか。

さすが京都、さすが下鴨神社、さすが世界文化遺産です。

下鴨神社と紅白梅図屏風

紅白梅図屏風のモデルとなった下鴨神社の御手洗川にかかる朱色の太鼓橋
紅白梅図屏風のモデルとなった下鴨神社の御手洗川にかかる朱色の太鼓橋

下鴨神社の御手洗川横にある紅梅は「光琳の梅」と称されます。尾形光琳の代表作として知られる「紅白梅図屏風」の紅梅は、この梅をモデルとして描かれたと伝えられています。

加茂みたらし茶屋

下鴨神社近くにある「加茂みたらし茶屋」
下鴨神社近くにある「加茂みたらし茶屋」

みたらし団子発祥の店としても有名な出町柳にある和菓子茶屋が「加茂みたらし茶屋」さんです。

みたらし団子は、下鴨神社の拝殿横にある”みたらし池”に湧き出す水玉をかたどったお団子が、そのはじまりだといわれています。

串にさした5個のお団子は、境内の御手洗池に浮かび上がる泡を表しているといわれます。一つ目が少し離れていて、五体を意味しているとも。

材料は最高のものを扱っていて、格別な味わいがあります。黒砂糖をベースにしたまろやかなたれの風味が柔らかな団子と溶け合い、もう絶品。

ぜひ下鴨神社にお越しになった際は、こちらによって、みたらし団子をお召し上がりください♬

ーーーー基本情報ーーーー

  • 住所:〒606-0816 京都府京都市左京区下鴨松ノ木町53
  • 営業時間:9時30~19時
  • 問い合わせ先:075-791-1652
  • アクセス:京都市営バス「下鴨神社前」下車すぐ

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江戸時代でありながら全国各地に出没していた売茶翁は、行く先々で逸話を残しています。

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