京都を代表する禅寺・相国寺|町絵師「伊藤若冲」と煎茶道の祖「売茶翁」が出会った場所
目次
NHKドラマ「ライジング若冲」でも話題になった伊藤若冲と売茶翁がであった京都の相国寺(しょうこくじ)をご紹介します。
NHKドラマ「ライジング若冲」で話題になった江戸時代を代表する奇才の画家「伊藤若冲」(いとうじゃくちゅう)。
今では浮世絵の葛飾北斎と並び、日本を代表する画家として有名です。
京都を代表する錦市場の青物問屋「桝屋」(ますや)の3代目当主・桝屋 源左衛門(ますや げんざえもん)の長男にうまれ、水墨画や色彩画、仏教画などを学びたどり着いた、まさに”若冲オリジナル”ともいうべき独特の画のタッチは見るものの視線を奪います。
ある意味、奇抜な画を描く伊藤若冲ですが、どうやってその”極地”までたどり着いたのでしょうか。
伊藤若冲若冲のターニングポイントともなった大典顕常(だいてんけんじょう)との出会い、大典和尚が和尚を務めた相国寺についてご紹介します。
江戸時代の奇想の画家、伊藤若冲とは

伊藤若冲(いとうじゃくちゅう・1716-1800)は、京都市下京区にある京都の台所「錦市場」(にしきいちば)にある青物問屋(あおのものどんや)である「桝源」(ますげん)の当主である桝屋 源左衛門(ますや げんざえもん)の長男として生まれました。
1738年に父が没した後、4代当主として桝屋源左衛門(ますや げんざえもん)を受け継ぎ、1750年代に京都錦市場のお近くにある宝蔵寺(ほうぞうじ)に父母(ふぼ)の墓をたて、徐々に意識が変わっていきます
錦市場は当時より、京都御所に食材をおさめていた影響もあり、そこの問屋というのは比較的裕福な環境だったそうです。そのため若いうちから絵の勉強もすることができ、宋・元・明の中国古画の研究、さらには実物の写生も重要視、光琳の装飾画風をもとり入れるなどして独学で画を学び、作品を制作しました。細部まで描き込まれ、極彩色で彩られた絹本着色の作品や、即興的な筆遣いとユーモラスな表現が特徴の水彩画は、江戸時代の画家として異才を放っています。
同年代には池大雅(いけのたいが)や円山応挙(まるやまおうきょ)などがおり、日本画の全盛期ともいえる時代です。
煎茶道の祖・高遊外売茶翁とは

高遊外売茶翁(こうゆうがい ばいさおう・1675年-1763年)は、江戸時代前期に活躍した、日本三禅宗の1つである黄檗宗の僧侶で、煎茶道中興の祖として有名です。
茶道界で有名な侘茶の祖・千利休(せんのりきゅう)に対して、煎茶道界の茶神・売茶翁(ばいさおう)として名が挙がります
高遊外売茶翁は、肥前蓮池(佐賀市蓮池町)出身で、京都や仙台など全国で修行したのち、京都東山で日本初の喫茶店「通仙亭」(つうせんてい)をオープン、売茶業を営みながら生涯を送りました。
京都相国寺とは

京都市上京区(かみぎょうく)、京都御所(きょうとごしょ)の北側に位置する、ひと際目立つ大きなお寺が、京都を代表する禅寺である相国寺です。
臨済宗相国寺派大本山であり、京都五山(きょうとござん)第二位に位置する名刹です。
その歴史は古く、室町幕府三代将軍の足利義満(あしかがよしみつ)の命によって、今の位置に創建されました。
仏教に関連した学問や研究、祈祷に専念する僧侶である学僧を多く輩出したお寺です。
伊藤若冲や売茶翁ゆかりの相国寺にいってみた。
京都市営地下鉄「今出川駅」から徒歩3分、臨済宗相国寺派大本山「相国寺」の境内にはいります。
とても広い境内で、天井に墨で大きく龍が描かれた「蟠龍図(ばんりゅうず)」が有名な法堂(はっとう)を中心に、四方に塔頭があり、大伽藍(だいがらん)を形成しています。
相国寺の法堂
相国寺の法堂は、現存する日本最古の法堂になります。
1605年、太閤である豊臣秀吉の実子にあたる豊臣秀頼(とよとみひでより)の寄進によって再建されたもので国の重要文化財に指定されています。
「無畏堂」(むいどう:何も畏(おそ)れず修行なさいという意味とのこと)とも称される仏殿を兼ねていて、御本尊の釈迦如来像(しゃかにょらいぞう)と両脇侍像(りょうわきじ)は運慶(うんけい)作と伝わっています。
さすが相国寺さん、規模や質がすごすぎますね。
伊藤若冲のための美術館「相国寺承天閣美術館」

相国寺承天閣美術館(じょうてんかくびじゅつかん)は、1984年4月、相国寺創建600年記念事業の一環として、相国寺境内の北東に位置する場所に建てられました。大本山相国寺をはじめ、相国寺派に属する世界遺産の金閣寺(鹿苑寺:ろくおんじ)・銀閣寺(慈照寺:じしょうじ)・ほか塔頭寺院(たっちゅうじいん)に伝わる美術品を常時展示されています。
相国寺の正式名称は「萬年山相國承天禅寺」、おそらくそこが由来となって、館名となったのでしょうか。
こちらの美術館は、伊藤若冲ゆかりのお寺ということもあり、伊藤若冲の掛け軸や襖絵などがふんだんに展示されており、まさに伊藤若冲美術館。
そして何より、館入り口に向かうまでのアプローチがとても綺麗です。
ツツジがいつも美しく整えられており、参道の両脇には紅葉が植えられていて、秋はとても綺麗です。
京都を代表する禅寺・相国寺の基本情報
京都「相国寺」のアクセス方法や地図情報、連絡先など観光に必須の情報をまとめています。
ーーーー基本情報ーーーー
住所:京都市上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町701
問い合わせ先:075-231-0301
拝観時間:10:00~16:30 (最終受付16:00)
定休日:法要等により休止日あり
アクセス:地下鉄「今出川」駅下車、徒歩約8分、市バス「同志社前」下車、徒歩約6分
相国寺の塔頭「金閣寺・鹿苑寺」
正式名称を鹿苑寺(ろくおんじ)といい、相国寺の塔頭寺院(たっちゅうじいん)の一つです。
塔頭(たっちゅう)とは、禅宗寺院で、祖師や門徒高僧の死後に、その弟子が師の徳を慕い、大寺・名刹に寄り添って建てた塔(多くは祖師や高僧の墓塔)や庵などの小院のことです。
舎利殿「金閣」(きんかく)が特に有名なため一般的に金閣寺(きんかくじ)と呼ばれています。
元は鎌倉時代の公卿、西園寺公経の別荘を室町幕府三代将軍の足利義満が譲り受け、山荘北山殿を造ったのが始まりとされています。
【基本情報】
住所:〒603-8361 京都府京都市北区金閣寺町1
問い合わせ:075-461-0013
拝観時間:9:00~17:00
拝観料金:大人(高校生以上): 400円 | 小・中学生: 300円
アクセス:JR京都駅から市バスで40分「金閣寺道」下車、徒歩すぐ
相国寺の塔頭「銀閣寺・慈照寺」
慈照寺(じしょうじ)は、京都府京都市左京区銀閣寺町にある、臨済宗相国寺派の仏教寺院です。
正式名称を東山慈照寺といい、相国寺の塔頭寺院の一つ。名の由来は金閣寺に対し、銀閣寺と称せられることとなったといわれています。
室町幕府第8代将軍足利義政が鹿苑寺の舎利殿を模して造営した楼閣建築である観音殿は銀閣、観音殿を含めた寺院全体は銀閣寺として知られています。
【基本情報】
住所:〒606-8402 京都府京都市左京区銀閣寺町2
問い合わせ:0757715725
拝観時間:8時30分~17時
アクセス:京都駅から市バスで焼く30分「銀閣寺道」下車、徒歩約10分