陶磁器・やきもの装飾デザイン|煎茶道具の基礎知識

陶磁器・やきもの装飾デザイン|煎茶道具の基礎知識

陶磁器・やきものの煎茶道具についてデザインや装飾方法をご紹介します。

こんにちは。

普段みなさんがつかっているコーヒーカップや湯飲み、茶碗はどうやって装飾されているかご存知でしょうか。

煎茶道具や茶道具も、いろいろな種類があって、とても綺麗な模様だなあ、と思うことがありますが、それがどうやってデザインされているか、よく知りません。

今回はそんな陶磁器・やきもののデザインや装飾方法について、大きく4つの技法にわけて、それぞれの概要や特徴をまとめました。

ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。

技法「絵付け」装飾デザイン|煎茶道具の基礎知識

絵付けとは、やきものや陶磁器の表面に、顔料や絵の具でデザインを施すことです。ロクロや手びねりで形を整えたのちに、素焼きした後に描く「下絵付け」、素焼きしてから釉薬をかけて本焼きしたあとに描く「上絵付け」の2パターンがあります。

絵付けの方法についていくつかご紹介させていただきます。

技法「絵付け」装飾デザイン|煎茶道具の基礎知識

染付(そめつけ)

下絵付けの技法のことです。白色の胎土(たいど:土器や陶磁器を製作する際にあたって原材料として使用された土)で成形した素地の上に、藍色の呉須という酸化コバルトを主とした顔料でデザインを描き、その上から透明な釉薬(ゆうやく)をかけます。すると明るく発色した呉須の青色が、白い器の表面をキャンバスに絵を描いたような美しい陶磁器となります。

鉄絵(てつえ)

こちらも同じく下絵付けの技法で、透明釉(とうめいゆう)の下に描かれる釉下彩(ゆうかさい)の一種です。酸化鉄など鉄分を多く含む顔料による絵付けをし、その上から透明の釉薬をかけて本焼きをします、すると鉄が変化し、黒色や淡い茶褐色になります。

こちらはの特徴は、岐阜県の志野焼(しのやき)や美濃焼(みのやき)、唐津焼(からつやき)などによく見られます。

色絵(いろえ)

こちらは上絵付の技法で、釉薬をかけて本焼きした素地に、さらにさまざまな色の顔料でデザインを施し、低温で焼き上げます。

色絵でとくに有名なのは石川県の九谷焼で、九谷五彩」と呼ばれる、緑・黄・紫・紺青・赤の色絵の具を自在に活用して、絵付けされ

5色の色絵の具をフル活用することから、「五彩手」ともいわれています。

技法「施釉」(せゆう)|煎茶道具の基礎知識

釉薬は釉(うわぐすり)とも呼ばれ、器ややきものの表面をコーティングしている、ガラス質の成分の被膜のことです。

陶磁器の表面にガラスコーティングがされることにより、汚れにくく、丈夫になるとともに、さまざまな色や味わいも生まれます。

茶道具や煎茶道具は陶磁器が多く、より深く理解するためにも、釉薬の種類をいくつかご紹介します。

灰釉(かいゆう)

自然釉(しぜんゆう)とよばれる、最初の釉薬です。自然釉とは、登り窯や穴窯などで松割木の薪の灰がやきものに付いて融けたものが、自然に釉がかかった状態となったものです。自然の草木の灰が原料で、緑がかったものやベージュなどナチュラルな色を出します。さらに草木の種類によって灰の種類もことなり、柞灰(いすばい:イスノキという木を灰にしたもの),土灰(どばい),わら灰(わらばい)があり、それぞれ色が異なります。

織部釉(おりべ)

岐阜県の伝統工芸「織部焼」(おりべやき)、戦国時代に織田信長(おだのぶなが)や豊臣秀吉(とよとみひでよし)に付き、千利休の弟子でもあった茶道好きの武将が、指導して創始されたやきものです。その織部焼によく用いられた釉薬が織部裕です。主に長石(ちょうせき)と灰と着色用の銅が調合されており、趣のある緑色を発色するのが特徴です。

⇒岐阜県の陶磁器・やきもの「美濃焼」の記事はこちら。

青磁釉(せいじゆう)

青磁釉薬は、古代中国発祥の釉薬で、日本ではなかなか見かけない珍しい釉です。微量の鉄分と草木灰をベースに調合した釉薬で、還元焼成(かんげんしょうせい:酸素の供給をおさえて焼成する方法のこと)をすると淡い青緑色に発色します。

日本では、和歌山の瑞芝焼(ずいしやき)、民芸品では高麗青磁(こうらいせいじ)が有名です。

技法「彫り・削り」|煎茶道具の基礎知識

粘土を成形したのち、生乾きの素地を彫ったり削ったりすることにより、凹凸のデザインを施す技法のことです。

使用する陶芸器具によって多様な効果、文様となります。

技法「彫り・削り」|煎茶道具の基礎知識

面取り(めんとり)

面取りとは、丸く成形した陶磁器の素地の表面を削って、多面体にする技法のことです。面取りの仕方もいくつかあり、器の表面をへらで削ったり、板で叩いたりして、平らな面をつくります。器に陰影(いんえい)がつき、立体感がうまれます。

飛び鉋(とびかんな)

ロクロを回しながら、鉋(かんな)という専用の陶芸器具の刃をあてて、表面を飛び飛びに削る方法です。連続した溝が幾何学模様(きかがくもよう)のようにリズミカルに刻まれます。福岡県の伝統工芸である小石原焼(こいしわらやき)や大分県の小鹿田焼(おんたやき)が、飛び鉋の美しい文様のある陶磁器として有名です。

透かし彫り(すかしぼり)

透かし彫りとは、土台となる器面を部分的に彫りぬいて、向こう側が透かして見える模様や技法のことを言います。文様を透かして素地を残す方法(文様透かし)と、文様の周りの素地を透かす方法(地透かし)があります。鹿児島県の薩摩焼(さつまやき)の香炉が有名です。

⇒鹿児島県の陶磁器・やきもの「薩摩焼」の記事はこちら。

技法「化粧掛け/練り込み」|煎茶道具の基礎知識

異なる土を合わせて装飾する方法があります。”土”と一言でいっても、鉄分が多い土だったり、酸性の土だったり、真っ黒の灰が混ざった土だったりと性質が異なる土がたくさんあります。そんな特徴の異なる土を合わせて装飾する方法で、成形後におこなう「化粧掛け」と、成形時におこなう「練り込み」があります。

化粧掛け(けしょうがけ)

成形した器の素地に白化粧土(しろけしょうづち:液体状の泥漿にした粘土)を掛け、その上から釉薬をかけて焼成する技法です。

フランス語のengober(泥漿を掛ける)からエンコーベと呼ばれたり、民芸運動家のバーナードリーチらが広めたスリップウェアとしても呼ばれます。

器の全面に白化粧土をかける「粉引」(こびき)、刷毛で塗ってわざと刷毛の跡を残す「刷毛目」(はけめ)などがあります。さらに白化粧土に色付けしてデザインを施す「色化粧」(いろげしょう)もあります。

栃木県の益子焼(ましこやき)、京都宇治市にある朝日焼(あさひやき)の刷毛目デザイン茶碗が有名です。

栃木県のやきもの「益子焼」刷毛目デザイン

練り込み(ねりこみ)

2種類以上の色の異なる粘土を組み合わせたり、貼り合わせたり、交互に積み上げるなどして、練りこんだ文様を作り出す技法です。

その起源は古く、古代エジプトや中国の技法だと言われていますが、今では失われてしまい、現在では日本の陶芸技法の一つ「NERIKOMI」として有名です。

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