煎茶道で使用される日本茶・茶葉の特徴や歴史について

日本茶の趣味である「煎茶道(せんちゃどう)」では、名前の由来である煎茶(せんちゃ)はもちろん、玉露(ぎょくろ)やほうじ茶、紅茶(こうちゃ)、日本酒まで使用します。それぞれがどんな茶葉で、どんな性質を持っているのか、そしてどんな栄養を持っているかが分かると、より日本茶と、日本茶の趣味である煎茶道が好きになります。

煎茶道でつかわれる日本茶

煎茶道(せんちゃどう)とは

煎茶道とは、茶道(ちゃどう)の一つの流派(りゅうは)です。

茶道とは、抹茶を茶筅(ちゃせん)で点てて、いただくもの、というイメージがありますが、実は茶葉を使用して急須からお茶をいれる茶道もあるんですね。

煎茶道は、江戸時代に中国から伝わってきた文人趣味(ぶんじんしゅみ:書や画など風流をたのしむ趣味)や黄檗禅宗(おうばくぜんしゅう)と合流し、抹茶の茶道にはない、独自の進化をとげてきました。そのため文化サロンの要素がつよく、”文化をたのしむ”ことをメインとした文化だといえます。

煎茶道を趣味としておこなっていた著名人としては、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、富岡鉄斎(とみおかてっさい)、夏目漱石(なつめそうせき)などがあげられます。

日本茶(=緑茶)とは

日本茶とは、不発酵茶(ふはっこうちゃ)で、よく言われるように「緑茶(りょくちゃ)」に分類されます。なぜ日本茶と言われるかというと、中国茶や紅茶との違いは、発酵(はっこう)の度合いです。どれも同じ茶の木から作られますが、茶の木に最初から付着している酸化酵素(さんかこうそ)が原因で、茶葉を摘み取った瞬間から酸化がはじまり、茶葉は瑞々しい青緑色から茶色に変わってていきます。日本茶(緑茶)は摘み取り後に酸化発酵をとめるために蒸すため不発酵茶です。中国茶で代表されるウーロン茶は、時間をおいてから加工するため半発酵茶、紅茶は香りを強めるために完全に発酵してから加工するため発酵茶になります。

煎茶道でつかわれるお茶「煎茶(せんちゃ)」

上記で説明した緑茶という大枠の中の1つで、渋みが特徴的な日本茶です。日本茶生産のなかで8割を占めるもので、日本茶といえば煎茶ということになります。日光をたくさん浴びながら成長するため、光合成がよく行われ、渋みであるカテキン、苦み成分のカフェイン、旨味成分のテアニンがバランスよく含まれていて、清々しい香りを味わえるお茶です。

煎茶道具「仙媒」と煎茶

煎茶道でつかわれるお茶「玉露(ぎょくろ)」

同じく緑茶という大枠の中の1つで、旨味(うまみ)が特徴的な日本茶です。摘み取りの約2週間前から、覆いをかぶせて日光を遮断し、カフェインやカテキン量を極端に減らします。また摘み取りの際には、柔らかい新芽のみを摘み取り、茎や霜で枯れてしまった茶葉が入らないよう手摘みで採集されることが多く、日本茶の中では高級茶のカテゴリーに分類されます。生産から摘み取りまで手間がかけられた玉露は、旨味が凝縮されていて、トロリとした甘い味わいとなります。

煎茶道でつかわれるお茶「紅茶(こうちゃ)」

紅茶とは、摘み取った茶の葉と芽を萎凋(いちょう)させ、もみ込んで完全発酵(かんぜんはっこう)させ、乾燥させた茶葉のことで、渋みが強いですが香味(こうみ)が良いのが特徴です。中国のウーロン茶系のお茶がヨーロッパ人の人気を呼び、製造業者が買い手の嗜好に合わせてその発酵を進めているうちに、強く発酵した紅茶が誕生したといわれています。

日本が初めて紅茶を輸入したのは明治20年(1887年)で、たったの100kgでした。その輸入は、原産地の中国からではなく、ヨーロッパ文化への憧れとしてイギリスから行われたのです。紅茶が、日本の茶の湯の伝統にも匹敵する舶来の文化として、上流社会でもてはやされたことはいうまでもありません。

一般社団法人:日本紅茶協会
煎茶道でつかわれるお茶「紅茶(こうちゃ)」

日本茶の栄養について

カテキン:お茶に約10~14%含まれているカテキンには、いま話題の 「免疫力向上」 や「抗菌作用」「抗ウィルス作用」などの効果が期待されます。また他にも、抗ガン作用、抗酸化作用(こうさんかさよう:アンチエイジング)、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用(けっとうちじょうしょうよくせいさよう:生活習慣病予防)、体脂肪蓄積抑制作用(ダイエット効果)、虫歯予防作用、消臭作用、抗アレルギー作用といった機能性があると言われいます。


テアニン:旨味成分として含まれるテアニンやグルタミン酸といった「アミノ酸」には、「リラックス効果」が身体に機能するると言われています。化学的なデータとして、日本茶を飲むことでテアニンを摂取すると、脳をリラックス状態にする”アルファ波”が出現し、同時にカフェインの興奮作用をおさえる効能が生まれるとのことです。つまり”お茶の飲むとなんだか落ち着く”というのは、お茶がもつ栄養素が、実際に作用しているということが証明されているということです。


ビタミン:「風邪予防などの健康効果」や「美容効果」があるといわれているビタミンCや、「発育促進効果」があるといわれているビタミンB2など、様々な種類のビタミンと食物繊維が豊富です。特に煎茶には、レモンの約3倍のビタミンCが含まれています。
情報提供:京都府農林水産技術センター 農林センター 茶業研究所